『リバース』がおすすめの人
コーヒーが好き
誰にも言えない秘密がある
どんでん返しが好き
今回は、湊かなえさんの『リバース』のあらすじと感想を紹介します。この作品は、湊かなえさんが初めて男性を主人公にした作品であり、編集者から結末を指定されて書いたという異色の作品です。
ネタバレに配慮していますので、まだ読んでいない方も安心してご覧ください!
\PR:少しだけ宣伝させてください!/
- どれだけ読んでも月額980円!
- 200万冊以上の小説・ビジネス書・漫画・雑誌etcが読み放題
- スマホ・タブレット・専用端末…いつでもどこでも楽しめる!
※Amazon公式サイトに移動します。
『リバース』のあらすじ
この投稿をInstagramで見る
- 深瀬和久:主人公。平凡なサラリーマン
- 越智美穂子:深瀬の恋人
- 村井隆明:深瀬のゼミ仲間。父は県議会議員
- 谷原康生:深瀬のゼミ仲間。商社勤務
- 浅見康介:深瀬のゼミ仲間。教師
- 広沢由樹:深瀬のゼミ仲間で親友
主人公の深瀬和久は、平凡なサラリーマン。会社でもコーヒーを入れるときだけ頼りにされる、はっきりと言ってしまえば地味な男です。
そんな深瀬が唯一楽しみにしていることは、仕事終わりにクローバー・コーヒーに通うこと。落ち着いた雰囲気と優しいマスターがお気に入り。
そして、常連の女性・美穂子に会えることも楽しみのひとつでした。
マスターのサポートもあり、深瀬は美穂子と付き合うことになったのですが、、、
ある日、彼女のもとに手紙が届きます。
「深瀬和久は人殺しだ」
ただのいたずらと信じる彼女に対し、深瀬は学生時代の"あのこと"について打ち明けます。
深瀬は墓場まで持っていくつもりだった秘密を彼女に打ち明けたことを機に、ずっと目を背けていた"あのこと"に隠れた残酷な真実に触れてしまいます。
『リバース』の見どころ・キーワード
- 過去に対する人間の心理
- ラスト1ページの衝撃
- 湊かなえさんの制作経緯
過去に対する人間の心理
この物語は、「大学生時代の友人の死」の真相について迫っていく作品です。
当時大学4年生だった深瀬は、最後の思い出作りとしてゼミ仲間の谷原・浅見・広沢・村井と、村井家の別荘に遊びに行くことになります。しかし当日になって村井が遅れてくることになり、4人で楽しんでいたのですが、夜になって村井から駅まで向かいに来るように連絡がありました。
でも、この時点で免許を持つ谷原・浅見・広沢はお酒を飲んでしまっています。話し合いの結果、一番飲酒量の少なかった広沢が迎えに行くこととなり、、、
広沢は帰らぬ人となってしまいます。
内定が決まっていた深瀬らは、広沢がお酒を飲んでいたことを隠し、ただの事故として扱うことにしました。そして、数年後に届く「人殺しだ」という手紙。
広沢は手紙を機に事件を振り返るのですが、「自分は止めたのに」「あいつらが悪い」という気持ちになっています。過去を自分の都合が良いように書き換えてしまう人間心理が上手く描かれている作品です。
ラスト1ページの衝撃
クライマックスに向けて徐々に真相が解明されていき、スッキリとした読後感が味わえそうな気分がしてきます。
でも、やっぱり湊かなえさんの作品は一筋縄ではいきませんね。ラスト1ページにとんでもない真相が待っています。
購入時などにパラパラと最後のページを見てしまわないように注意してください。。。
湊かなえさんの制作経緯
実はこの作品、湊かなえさんが編集者からあるお題を受けて制作したそうです。
そのお題は結末に大きく関わっているので書けませんが、他者に決められた結末に向かう物語を作れるって本当にすごすぎます。
物語としても面白いですし、そんな制作過程を知るともっと楽しめる作品です。
また、湊かなえさんが初めて男性を主人公に描いた作品なんです。
男性から見ても、男性心理をよくわかっているというか、、、なんでこんな作品を書けるんでしょうか。
『リバース』の感想
この小説は、主人公の深瀬が学生時代に起きた事件に関する秘密と向き合う物語です。深瀬を含むゼミの仲間は、取り返しのつかない事件を起こしてしまったのですが、ある嘘をついたことで今まで暮らしてこれました。そんななかで届いた脅迫文。深瀬はあらためて事件に目を向けることになります。
ここのポイントは、なぜ今になって目を向けることができたのか、ということ。事件が起きてから自分たちが犯した罪に目を向けずに生きてきたはずなのに、なぜ?
その一つが自分の過去に対する言い訳、美化があると思います。記憶が曖昧になっていくとともに「自分ではなく、あいつが悪い」「自分は止めたのに」という自分にとって良い記憶だけを遺してしまう。だからこそ当事者ではなく、第三者のような視点で事件を振り返れたのだと思います。
読者は、そんな深瀬の姿勢に、憤りのようなものを感じてしまうんですよね。「いやいや、おまえも悪いだろ」って。
でも、過去にやってしまったことに対して言い訳をしながら過ごし、自分のこころが壊れないように美化してしまうことって、誰にでもあることなんですよね。
じゃあ、正直に生きればすべてOKかというとそうでもありません。現代社会で生きるには、自分を守るための嘘や他人を守るための嘘もつくずる賢さも必要になります。では、その嘘に対してどのように責任をとれば良いんでしょうか。
そんなことを考えながら読んでみた作品です。
(答えは出てないから、感想も支離滅裂に笑)
印象的な文章
「どんなときでも、行動と思いが伴っているわけじゃない。自分の行動がベストじゃないなんてことは、ほとんどの人が自覚してる。だけど、そうすることによって成り立つ世界もある。気付いていないことは指摘すれば改善されることもある。だけど、自覚していることを指摘されても、なにも変わらない。むしろ、恥をかかされたって、相手を意固地にさせてしまうだけ」
引用:『リバース』湊かなえ/講談社文庫 P246
『リバース』の作品情報
著者 | 湊かなえ |
出版社 | 講談社 |
初版 (文庫化) | 2015年5月19日 (2017年3月15日) |
ページ数 (文庫) | 280P (330P) |
ジャンル | ミステリ |
湊かなえさんのプロフィール
生年月日 | 1973年1月 |
デビュー作 | 『告白』(2008年) |
受賞歴 | 『告白』第6回本屋大賞(2009年) 『ユートピア』第29回山本周五郎賞(2016年)など |
『リバース』湊かなえの感想・あらすじ:まとめ
今回は湊かなえさんの『リバース』を紹介しました!
次は『贖罪』を読みたいなあ