『優等生は探偵に向かない』がおすすめの人
『自由研究には向かない殺人』を読んだ
現代ならではのミステリを読みたい
ラジオやポッドキャストをよく聴く
今回は、ホリー・ジャクソンさんの『優等生は探偵に向かない』を紹介します。
この作品は、『自由研究には向かない殺人』の続編であり、直接的なつながりがあります。そのため、『自由研究には向かない殺人』を読んだことがない方は、こちらの記事をご覧ください!
『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソンのあらすじ・感想
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この記事は、『自由研究には向かない殺人』のネタバレになるかもしれないのでご注意を。
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『優等生は探偵に向かない』のあらすじと登場人物
著者 | ホリー・ジャクソン 訳:服部京子 |
出版社 | 創元推理文庫 |
舞台 | イギリスの架空の町 (リトル・キルトン) |
時代 | 2018年~ |
登場人物
■ピップ
- グラマースクールの最上級生(18歳)
- アンディ事件を解決して、一躍有名人に
■ラヴィ
- ピップの相棒
- 大学進学を目指す21歳
■コナー
- ピップの友人
- 兄の捜索をピップに依頼
■ジェイミー
- コナーの兄
- 家出癖あり
アンディ・ベル失踪事件の真相を突き止め、リトル・キルトンだけでなく、イギリス中で話題になったピップ。しかし、解明したものすべてをマスコミが報道してくれたわけではなかった。そのためピップは、ポッドキャストを通じて自らの口で説明することに。
そんななか、友人・コナーから彼の兄・ジェイミーの行方がわからなくなったと相談される。どうやらジェイミーは、過去にも何度か家出をしており、警察は動いてくれない様子。アンディ事件の解決の際には危険な目にも遭ったピップは、コナーの依頼を一度断るも、ジェイミーのために調査に乗り出す。ポッドキャストのリスナーから情報を集めるうちに、ジェイミーの秘密が明かされていく――。
はたしてジェイミーの行方は?そして、失踪の裏に隠れた、驚くべき真相が明らかになる。
『優等生は探偵に向かない』の見どころ・キーワード
- 「探偵」をやめたピップ
- ポッドキャスト
- 『自由研究には向かない殺人』とのつながり
「探偵」をやめたピップ
アンディ事件では、高校生とは思えない類まれなる推理力で真相にたどり着いたピップ。しかしその過程で、愛犬を失い、自らも死の淵に追い込まれました。そのため、もう「探偵」はしないことを両親と約束しています。
そんななか届いた、友人の兄の失踪の知らせ。もう探偵はやらないと断るピップでしたが、友人の力になれないことに後ろめたさも感じています。
では、ピップは何をきっかけに、どんな気持ちで、調査をスタートするのでしょうか。ピップの心情の変化に注目です。
ポッドキャスト
この作品では、アンディ事件の解決で有名人となったピップが、ポッドキャストを活用してジェイミーの行方を追います。
ポッドキャストとは、簡単にいうと個人で配信できる音声メディアのこと。個人のラジオと考えればOKです。
日本でも芸能人をはじめとするたくさんの方が配信していますが、馴染みのない方も多いでしょう。ポッドキャストという言葉にピンとこなかった方は、一度スマホアプリで配信を聞いてみると良いかもしれません。
また、『自由研究には向かない殺人』のようなインタビューやイラストも登場。第一作目の魅力を引き継ぎ、パワーアップした一冊となっています!
『自由研究には向かない殺人』の結末
『自由研究には向かない殺人』のあとのピップを描いた作品であるからには、『自由研究には向かない殺人』とつながる描写がないと不自然になってしまいます。あんな事件があって数か月で完全に忘れられるはずありませんから。
たとえばこの作品では、強姦容疑で捕まったマックスの裁判などについても触れられていますし、その裁判によって揺れ動く被害者・ナタリーたちの様子も描かれています。
読者としても、良くも悪くもアンディ事件を"引きずり"ながら、次の事件へと向かっていくのです。
『優等生は探偵に向かない』の感想
- 無理やり感のない第二作
- 『自由研究には向かない殺人』が伏線?
- SNSやイラストの活用
無理やり感のない第二作
「人気作の続編」という言葉を素直に喜べないのは僕だけでしょうか。小説に限らず、第二作目を読んだことで、第一作目への満足感も損なわれてしまった経験が何度もあります。特に海外ドラマはそれが顕著で、「プリ◯ンブレ◯ク」の第ニシリーズにはがっかりしてしまいました。
しかし『優等生は探偵に向かない』には、「人気だから第二作目を作っちゃおう!」という無理やり感がありません。もともと一冊だったものをわけたような統一感、整合性があります。舞台も登場人物も同じで、ストーリーにも直接的なつながりがあるので、第二作目から入るのは難しいというデメリットはあるのですが、一作目を読んだファンからするとたまらない続編でした!
『自由研究には向かない殺人』が伏線?
阿津川辰海さんによる文庫解説には、「続編というより第二部」といった表現が書かれています。まさしくその通りで、ストーリーはそのままつながっているのですが、実は『自由研究には向かない殺人』のたった一行の描写が『優等生は探偵に向かない』のキーになっていることも。
「え?あのシーンがここで!?」という驚きがありました。
なので、『自由研究には向かない殺人』を読んでから時間が経っている方は、もう一度読み直してからそのまま『優等生は探偵に向かない』まで一気読みするのがおすすめ!
2023年7月には完結編となる『卒業生には向かない真実』も発売されたので、最後まで駆け抜けちゃいましょう!
SNSやイラストの活用
小説は文章から想像をふくらませることが面白さですが、ときとしてイラストなどの文章以外の要素が入ることで、より深くイメージを膨らませられます。とはいえ、それがなければシーンが伝わらないのであれば、小説としてどうなんだろうと疑問を抱いてしまいます。
その点、『優等生は探偵に向かない』は、イラストやSNSのメッセージなどをあくまでも補助としてうまく活用しているんです。なくても伝わりはするけども、あることでよりリアリティを感じられる。そのバランスが絶妙だなと感じました。
そしてイラストなどがあるおかげで、読者もピップたちと同じように謎解きを楽しめます。
文章以外の要素を入れるのは、道尾秀介さんの『いけない』をはじめ、特段めずらしいことではありません。そのなかで、いわばありふれた技法が作品の魅力の一つになっているのは、使いどころやバランス力が優れているからだと感じました。
『優等生は探偵に向かない』ホリー・ジャクソンのあらすじ・感想:まとめ
今回はホリー・ジャクソンさんの『優等生は探偵に向かない』を紹介しました。
次は完結編『卒業生には向かない真実』をチェック!
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