『連続殺人鬼カエル男』がおすすめの人
グロテスクな作品が好き
刺激的な作品を読みたい
どんでん返しが好き
今回は中山七里『連続殺人鬼カエル男』(宝島社)を紹介します。
『さよならドビュッシー』に並ぶ、「どんでん返しの帝王」中山七里さんの代表作!
ネタバレなしで紹介するので、安心して読み進めてみてください。
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『連続殺人鬼カエル男』のあらすじ・登場人物
■古手川:捜査一課の若手刑事。大きな事件で手柄を挙げたい
「管理人への事情聴取くらいだったら俺一人で十分スよ」
■渡瀬:古手川の上司。“人を殴ることしか考えていないようなご面相“
「つべこべ言わずに付いてこい」
■御前崎:メディアにも多く出演する精神科医。勝雄の元主治医
「だからこの犯人は表面上はどうあれ、精神的には幼児性を色濃く残しています」
■さゆり:保護司。ピアノ講師。勝雄の音楽療法に励む
「音楽療法と行ってね、ポール・ノードフという音楽家が広めた方法なの」
■真人:さゆりの息子。古手川になつく
■勝雄:幼児を殺害するも、心神喪失を理由に刑を免除された18歳。さゆりが保護。
空室だらけの“幽霊マンション”の13階で、口にフックを掛けられ、吊り下げられた女性の遺体が見つかる。
現場にはひらがなだけの犯行声明文が残されているも、その他の手がかりは見つからず、捜査は難航。
そんななか第二の事件が起き、その残虐な手口が報じられると、街中がパニックに陥る。
「吊るす」「焼く」「解剖する」……猟奇的な殺人を繰り返す「カエル男」の正体、そして動機とは?
無秩序に思われた犯行に、ある規則性が見つかり……。「
どんでん返しの帝王」中山七里さんのもう一つの原点とも言える、どんでん返しミステリー!
『連続殺人鬼カエル男』の見どころ・キーワード
『このミス』最終候補に2作ノミネート&刊行
今では「どんでん返しの帝王」としてミステリー界で確固たる地位を築いている中山七里さん。
デビュー作は第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した『さよならドビュッシー』ですが、実は『連続殺人鬼カエル男』も同年の最終候補にノミネートしていました。
最終的には大衆性を鑑みて『さよならドビュッシー』が大賞となったものの、カエル男も負けず劣らずの高評価だったそうです。
両作品ともに音楽を描いているという共通点がありますが、火事で未来を失いかけた少女の青春を描いた『さよならドビュッシー』と、猟奇的な殺人鬼を描いた『連続殺人犯カエル男』は両極端とも言えるでしょう。
両方を読むことで、中山七里さんの凄さをより一層実感できると思います!
刑法三十九条
(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。刑法―第一編 総則―第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
本作では、一つのテーマとして「刑法三十九条」が据えられています。
刑法三十九条によって”守られた”勝雄などの人物も登場しますし、カエル男の猟奇性に触れた法医学教室の光崎教授は刑事たちに対してこのような発言をしています。
言ってやろう。こいつは掛け値なしに異常者の仕業だ。刑法三十九条との格闘を覚悟しておいた方が良い
中山七里『連続殺人鬼カエル男』(宝島社)
警察は、猟奇的な殺人事件を早期解決し、大衆を守るために奔走しています。しかし犯人を逮捕したところで、刑事責任能力がないと認められれば処罰の対象外となる可能性があります。
では警察は何を守り、刑法三十九条は何を守っているのか。
猟奇的殺人というミステリー小説としてはキャッチーなテーマでありながら、刑法三十九条や心神喪失などについて考えさせられる社会性も持っている、奥深さのある作品です。
「カエル男」に対する大衆の反応の変化
本作では、カエル男の猟奇的な犯行に対する世間の反応の変化も見どころです。
第一章のマンションから遺体が吊るされた事件に対する反応は、こちらの文章から伺えます。
死体というのは見る者自身の死を自覚させちまう。自分もいつか死体に変わる、朽ち果てていく。考えれば考えるほど気が狂いそうになる。だから、精神的に健康な者は死を冗談のネタにする。そうしなければやりきれないからだ。
中山七里『連続殺人鬼カエル男』(宝島社)
第一の事件の際には、大衆は傍観者としてインターネットで自由に、勝手に発言をしています。では、もし自分が傍観者でなくなったら、彼らはどのような反応を見せるのか。
ぜひ大衆の変化にも着目しながら読み進めてみてください!
『連続殺人鬼カエル男』の感想:強烈な違和感とどんでん返し
大好きな『さよならドビュッシー』と同時に『このミス!大賞』にノミネートした作品ということで、大きな期待を持って読み始めました。
冒頭からグロテスクな描写が続き、暗い作品が好きな僕はあっという間に虜になってしまったのですが、ある部分で強烈な違和感を抱きました。
ネタバレにならないように簡単に表現するなら「カエル男が話題になっているなかで、そんな行動する?」という疑問です。
その違和感があまりにも強烈だったので、その後は序盤ほどのめり込めないまま終盤へ。
しかし、さすがは「どんでん返しの帝王」。しっかりと違和感の答えとなる展開が待っていました。
ミステリーが好きな理由として「騙されたい」という感情がある僕からすると、これ以上ない一冊でした!
中山七里『連続殺人鬼カエル男』:まとめ
今回は中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男』を紹介しました。
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