『世界の美しさを思い知れ』がおすすめの人
なかなか旅行ができない方
つい「死」について考えちゃう方
旅行の思い出を聞くのが好きな方
今回は、額賀澪さんの『世界の美しさを思い知れ』のあらすじと感想を紹介します。
ネタバレに配慮していますので、まだ読んでいない方も安心してご覧ください!
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『世界の美しさを思い知れ』の作品情報
著者 | 額賀澪 |
出版社 | 双葉社 |
初版 | 2021/12/22 |
ページ数 | 328P |
ジャンル | 連作短編集 紀行・旅行文 |
額賀澪さんのプロフィール
生年月日 | 1990年 |
デビュー作 | 『屋上のウインドノーツ』 『ヒトリコ』 |
受賞歴 | 第22回松本清張賞『屋上のウインドノーツ』(2015年) 第16回小学館文庫小説賞『ヒトリコ』(2015年) |
『世界の美しさを思い知れ』のあらすじ
『世界の美しさを思い知れ』は、全7篇の短編集です!
- 第一章 礼文島
- 第二章 マルタ島
- 第三章 台中
- 第四章 ロンドン
- 第五章 ニューヨーク
- 第六章 ラパス
- 最終章 尚斗
連作短編集で第二章以降のあらすじはネタバレになるので、今回は第一章のあらすじのみ紹介します!
『第一章 礼文島』のあらすじ
登場人物
- 蓮見貴斗
- 蓮見尚斗:貴斗の弟。大人気俳優
- 野木森:尚斗のマネージャー
- 古賀:貴斗の同僚
- 辻亜加里:尚斗の元恋人。女優
大人気俳優・蓮見尚斗が突然の自殺。遺書はなく、家族との確執が噂されていました。
特に双子の兄・貴斗に対して「嫉妬で尚斗を追い込んでいたのでは?」というバッシングが相次ぎます。
でも実際は、"2人で1つ"と言えるほど仲良し。お互いのことは何でも知っている、そう思っていたのですが、自殺の理由だけがまったくわからない。
貴斗は弟を失って初めて弟を"知らなかった"ことに気づきます。
そんななか、尚斗のスマホに礼文島行きの航空券が届きます。
どうして旅行を予約していたのに自殺?どうして礼文島に行こうと思ったの?
貴斗は尚斗の自殺の理由や尚斗自身について知るために礼文島に行くことを決意します。
『世界の美しさを思い知れ』は弟を失った兄が足跡をたどって世界中を旅する物語。
マルタ、台中、ロンドン、ニューヨーク、ボリビア…
さまざまな人々や景色、文化に触れて「生」と「死」について考える異色の紀行小説です。
『世界の美しさを思い知れ』の見どころ・キーワード
世界中の景色や人々
『世界の美しさを思い知れ』では、世界各地の観光名所が多数登場します。「弟の自殺」という悲しい背景があっても、やはり美しいものは美しい。
貴斗の目を通して描かれる世界の景色の美しさや人々の温かさは、つい旅行がしたくなる開放感や軽やかさを感じられます。
文字から景色を想像するのも良いし、調べながら読むのも良い!
他者を知るということ
貴斗は双子の弟の尚斗の自殺の理由を求めて旅に出ます。
最初は自殺の理由を探っていたのですが、徐々に"尚斗自身"のことも知らなかったことに気づくんですよね。
人間ってどうしても他者を知ろうとしてしまいますし、知っていると思ってしまいます。でも、2人で1つともいえるほど仲良しの双子でもわからないことがある。
「他者を知る」ということについて考えながら読んでみてください!
死を受け止めるということ
世界の美しい景色を見るたびに浮かぶ「どうして自殺したんだ」という思い。
尚斗の自殺の理由や尚斗自身について知る、という大義名分があって旅に出たつもりだったのに、実際は死を受け入れることがから逃げているだけ?
尚斗を思って世界を旅するのは、尚斗のためではなく、貴斗のため?
"遺された者"がどのように死を受け入れ、悼むべきなのか、考えさせられる作品です!
ラストシーン
「小説推理」の連載時にはなく、単行本化にあたって額賀澪さんが半年間悩んで入れたラストシーン。
読者のなかでも賛否両論があるのラストシーンを読んで、あなたは何を思いますか?
『世界の美しさを思い知れ』の感想
インスタで見かけてずっと気になっていたのですが、GWを利用してやっと読めました!
弟の死という絶望的な出来事があっても世界はいつもどおり回っていて、そこには温かさも喜びもある。
でも、だからこそ弟がいなくなってしまったことを実感してしまう。
どれだけ良い景色を見ても、どれだけ美味しいものを食べても、弟を想ってしまう。
そして、弟を想うほど溢れる「なぜ死んでしまったのか」という疑問。
弟の自殺によって"日常"を失ってしまった貴斗が、"非日常"の旅行のなかで何を想うのか。
貴斗の心境を通して「生」と「死」について考えさせられました。
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みんなの感想
双子の弟が自殺した理由を探すため弟と
縁がある場所へ世界中旅をする兄。
弟がいない世界でこの先どう生きていくのか。ただ悲しいだけではなく、
旅先での素敵な出会いや美味しそうなご飯が
物語をあたたかいものにしてくれます。
最後のページで涙が😢
今日じっくり読み返したんだけど、額賀澪先生の『世界の美しさを思い知れ』、エンドロールが胸熱すぎて本当にやばい、、、、、
あの人もこの人も出てるし皆んなすごくちゃんと人生を進んでて、見つけるたびに叫びながら泣いてます、、、、
生まれた時から一緒だった片割れの喪失感を引きずる主人公の内面描写にちょっと重いものはあるんだけど、全体のイメージとしては、弟のかつて訪れた、あるいは行こうとしていた各地の情景描写や、そこで出会う人々との交流が美しい小説。
『世界の美しさを思い知れ』の印象的な文章
印象的だった文章をまとめました!
貴斗も彼女も、溺れているのだ。ただ息をするために、必死に水を掻き、口を開けている。納得ができるとか、筋が通っているとか、そんな問題ではない。
ただ賢明に、死なないために、息をしている。そこまでして死なない理由があるのだろうか、と頭の隅っこで考えながら。P143より引用
数日と訪れたただの旅人の目には現地の人が抱える問題も、日々の焦燥も映らない。そのことを噛み締めながら、それでも今この瞬間は、美しさを感じていよう。お前の生きた時間も、きっとそれと同じ。
P170より引用
『世界の美しさを思い知れ』額賀澪のあらすじ・感想:まとめ
今回は額賀澪さんの『世界の美しさを思い知れ』を紹介しました!
次は『できない男』を読みたいなあ