『汚れた手をそこで拭かない』がおすすめの人
不気味な作品が好き
サクサク読める短編集を探している
タイトルの意味を考えるのが好き
今回は、芦沢央さんの『汚れた手をそこで拭かない』のあらすじと感想を紹介します。
ネタバレに配慮していますので、まだ読んでいない方も安心してご覧ください!
『汚れた手をそこで拭かない』とは?
著者 | 芦沢央 |
出版社 | 文藝春秋 |
初版 | 2020/9/26 |
ページ数 | 237P |
ジャンル | ミステリ短編集 |
受賞歴 | 第164回直木賞候補 |
芦沢央さんのプロフィール
生年月日 | 1984年 |
デビュー作 | 『罪の余白』(2012年) |
受賞歴 | 『罪の余白』第3回野性時代フロンティア文学賞(2012年)など |
『汚れた手をそこで拭かない』のあらすじ
『汚れた手をそこで拭かない』は、全5篇の短編集です!
- ただ、運が悪かっただけ
- 埋め合わせ
- 忘却
- お蔵入り
- ミモザ
あらすじを1篇ずつ紹介します!
ただ、運が悪かっただけ
登場人物
- 十和子
- 夫
五十五歳検診で末期がんと診断された十和子。
最期は自宅で過ごしたいと思い、建具職人の夫の作業場に医療用ベッドを設置して生活することになりました。
一日の大半を一緒に過ごすなかで、十和子は夫が心を落ち着かせるためだけに鉋をかけているときがあることに気づきます。
「もし辛いことがあるなら、わたしがあちらに持っていきましょうか」
そう聞いた十和子に対し、夫は信じられない言葉を口にしました。
「俺は昔、人を死なせたことがある」
埋め合わせ
登場人物
- 千葉秀則
- 五木田:秀則の同期
小学校教師の秀則は、ちょっとしたミスでプールの水を半分まで減らしてしまいました。
秀則の脳裏には、以前別の学校で水の出しっぱなしがあり、教師が弁償したというニュースが…
減った水の量から水道代を計算し、約13万円かかることがわかった秀則は隠蔽工作を企てます。
忘却
登場人物
- 武雄
- 妻
- 笹井
武雄は、最近妻がボケ始めていると感じていました。
そんなある日、マンションの隣人の笹井が熱中症で亡くなります。
どうやら冷房をつけずに寝てしまったことが原因だとか。
本人の不注意によって起きてしまった悲しい事故。
誰もがそう思っていたのですが、武雄だけは違いました。
なぜなら、笹井宛の電気代の督促状を誤って受け取っていたからです。
「笹井さんなら、私から渡しておくわよ」
妻にまかせたはずでしたが、物忘れの多い妻が忘れてしまったようです。
つまり武雄は、自分が督促状を渡さなかったせいで、笹井は電気が止まることを知らずに死んでしまったのではないかと悩んでいたのでした。
お蔵入り
登場人物
- 大崎祐也:映画監督
- 岸野紀之:ベテラン俳優
- 小島郁人:人気アイドル
売れない映画監督の大崎は、人気アイドルの小島とベテラン俳優の岸野のW主演の映画を撮影していました。
売れない大崎にとって、これほど豪華なキャストでの作品づくりは、まさに人生がかかった舞台。
しかし、撮影が佳境を迎えたある日、映画のプロデューサーから「岸野に薬物疑惑がある」と告げられて…
ミモザ
登場人物
- 荒井美紀子:料理研究家
- 瀬部庸平:元恋人
人気料理研究家の荒井美紀子のサイン会に、元恋人の瀬部庸平が突然表れました。
当時、美紀子はアルバイトで、庸平は社員。
しかも、庸平は既婚者でした。
サイン会でもらったファンからのプレゼントのなかに見つけた「向かいのバーで待っています」の文字。
美紀子も現在は既婚者でしたが、かつて不倫関係にあった庸平との再会に胸が高鳴り、身体が勝手にバーへと向かってしまいます。
そこで庸平から驚きのことを告げられます。
「仕事は辞めた」
「お金を貸してほしい」
つい貸してしまった美紀子は、その後庸平につきまとわれ…
『汚れた手をそこで拭かない』の感想
僕は読む前にはピンとこなかったタイトルが、読んだ後に「そういうことだったのか!」となる瞬間がたまらなく好きです。
とくに『汚れた手をそこで拭かない』は、その衝撃というか、スッキリ感が大きかった作品でした。
(内容はスッキリというより、どんよりなのですが…)
短編集っていわゆる「表題作」という形で、受賞作などを本のタイトルにするケースが多いですよね。なので、本のタイトルが作品全体に関係しているかというと、そうではありません。
一方で『汚れた手をそこで拭かない』には、『汚れた手をそこで拭かない』という作品が収録されていません。つまり、5つの短編を表現するために意図時に選んだ言葉が『汚れた手をそこで拭かない』ということになります。
ここでタイトルの意味を書くとネタバレになる気がするので、ヒントだけ。
『汚れた手をそこで拭かない』ということは、「手が汚れている」ということ。では、なぜ「汚れた」のか。ゴミ?ホコリ?いやいや、「手を汚す」といえば…
『汚れた手をそこで拭かない』のみんなの感想
芦沢央さんの「汚れた手をそこで拭かない」まじで面白かった 一瞬で読んじゃった 短編5個だから5回ゾワっとできて最高だったやばい
わかります…短編集って1冊でいろいろな面白さを体験できるのが良いですよね!
芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』読了。
日常の謎系の短編集。どれも胸クソ悪い。どれも後味悪い。ステキ。『忘却』が特にグッとくる。
芦沢央作品を読むのは初めてだったけど好きな作家さんかも知れない。他の作品も読んでみよう。
芦沢央作品の後味の悪さは、本当にクセになります。。。
失敗をしてしまい、その隠蔽工作をするが故に事態の悪化を招いてしまう、イヤミス短編集。「埋め合わせ」の話が1番好き。その場しのぎの対応を繰り返して、じわりじわり追い詰められていくのに先を読みたくなる。ありそうな話なのがよりゾッとさせる。
主人公の選択によってじりじりと追い詰められていくのを感じられて、「そっちじゃない!」ってなりました。笑
『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央のあらすじ・感想:まとめ
今回は芦沢央さんの『汚れた手をそこで拭かない』を紹介しました!
次は『火のないところに煙は』を読みたいなあ
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